北海道株式会社のケース(4)vol.062

(やはりな)
短くて3日。退職者の平均在籍期間はギリギリ1年といったところか。

(原因は何か?)
あなたはその推測と同時に、定着率の悪さ防止に向けた、会社側の課題を考えてみようとした。
通常、こういったデータを見て問題意識を感じる人間なら、皆そうするだろう。

(だが、さっきこの男が言ったことが活かせるかもしれない)
あなたは男に、退職者が会社を去った理由をリストに表示できるかと質問した。

実際、企業が『退職理由』というデータを保有している例はある。
しかし、そういった場所に記録されるのは管理上の形式的な記載がほとんどだ。
そんな表面的なものではなく、辞めた人間の本音を表示させたい。

「残念ながら、【法人】は社員の心までは読めません」
男は首を振った。『退職理由』というデータ項目は、社員リストに表示できないという。

だが、そう言われてあっさり引き下がれるものではない。
そもそも、社内データではないはずの、現社長の生い立ちまでを知っているのはなぜか?
社長の記憶を読み取りでもしないかぎり、それは不可能ではないか。

あなたの追求に対し、男はあっさりと回答した。
「社内で音声として発された会話は、【法人】の記憶に残ります」

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