北海道株式会社のケース(5)vol.063

社員の側も、採用後、「自分にはふさわしくない」と思うまでの期間が非常に短い。
なぜ、それに気づかずに入社し、そんなにも早く退職の決断をしてしまうのか。

テキストマイニングの結果を注意深く探ってみたが、横暴な経営者や先輩がいるようなフレーズは見当たらなかった。

また、有力者の横暴さについて、社内の会話では怖くて直接的に言えない場合、弱者たちが使う特有表現がある。
アグレッシブな代替表現でプラス方向に言い換えられるのもそのひとつだ。
しかし、探ってみても、無理矢理に作ったようなキレイな言葉などは無い。

念のため【法人】にも訊ねてみたが、社長は温厚で怒ることもほとんどなく、社員に怒鳴ったりしたことはこれまで一度もないという。

自慢話のネタというものも特にないためか、社員の話を聞くことが好きで、圧迫を感じているような従業員はいないらしい。

あなたはさらに、採用に至らなかった求職者の情報を抽出した。
思ったとおり、大卒者よりもそれ以外の応募のほうがはるかに多い。
社長が意図的に大卒者を選んでいることはほぼ確定だ。

(社長が最初に入社した商社で受けた仕打ちの反動か)
そこではプライドの高い社員たちに雑巾のように扱われた。

たまたま彼らに共通する条件が“大卒”ということで、今度は自分がそいつらを使いまわしてやろうとする復讐の意図があるのかもしれない。

あるいは逆に、人格形成期の環境を無意識に求めてしまい、当時と同じ劣悪な条件の中に身を置くことで安心するという、一種歪んだ価値観を持ち続けていることも考えられる。

といってもここでいう人格形成期とは、あくまでも“社会人としての”という意味だが。

深みにはまりそうだ。

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