北海道株式会社のケース(3)vol.061

「そして私は、今も存在しています」
北海道株式会社を名乗る【法人】は、今の話を物語った当人とは思えないほど冷静な声であなたにそう言った。

(【法人】には感情もないのか)
話に引き込まれていたあなたは、急に引き戻された現実に、肩すかしを受けたような気分だった。

会社を受け継いだ少年が、どうやって再び立ち上がり、『プロフェッショナル集団』なるものを目指すようになったのか。

やはり、最初にあなたが感じたように、無理にでも自分を鼓舞する言葉を発し続けなければ、生き残っていけない状況だったようだ。

働く意義など度外視で、生きるために働く仕事の辛さは、あなたにはよくわかる。

仕事を通じて果たしたい志が、働き始めて挫折した挙句、「仕事するのはメシのためだ」と開き直る人間は沢山見てきた。

だが、北海道株式会社の社長に、志などという贅沢は許されなかった。
ただただ、メシのために働き始めなければならなかったのだ。母と弟妹のためにも。

「しかし、最近ウチを訪れたシステム会社と商談を重ねる中で、『プロフェッショナル集団』の定義見直しの助言を受けてから、社長の経営方針には迷いが生じ始めています」
男は、あなたにそう告げた。

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