北海道株式会社のケース(9)vol.067

「社員が居つかない状態が解消されると採用コストが抑えられて、システム導入費を払ってもおつりがくると、システム会社は話しています」

あなたの内心を感じ取ったかのように、【法人】はシステム導入による財務負担の軽減効果について口にした。

確かにそのとおりだ。
今は、ほとんど常に社員募集をかけているような状態である。
転職サイトへの掲載をはじめ、採用決定による手数料支払いが、継続的に発生している。

また、社内での応募書類管理や面接対応にかかる手間暇を含めると、実質的なコストは結構な額になる。

(普通、このくらいの人数規模で求人募集している企業は、しばらく経つとまったく掲載されなくなるものだ)

長い間求職活動をしてきたあなたは、そういう実例をたくさん目にしている。
繰り返し求人情報が掲載されているのは、大抵それなりの人数規模を持つ企業だ。

ごく小さな企業が繰り返し求人情報を出し続けるケースは多くない。
採用活動に割く力あるなら、もっと別な方面に充当したいからだろう。

社員10名程度の企業では、処遇や知名度や将来性などの条件ゆえ、逆に、優秀な求職者からは相手にされないことが多い。

やってきた応募者の中にそれなりの人材が居たら、慎重に吟味して採用し、何とか長続きするようにしたいという想いは、大きな企業よりもはるかに強い。

(北海道社だって実情はそうに違いない。それなのに、ワザワザそこまでする理由は?)
『プロフェッショナル集団』にこだわっているだけなら、ここまで来れば話は簡単だと思う。

求める人材のタイプを転換させ、継続的な採用活動はストップさせる。

今あなたの目の前にいる【法人】は、社内の空気感や土壌を構成して社長や社員を『誘導』できるというのだから、この男に対してあなたがそれを示唆すればよい。

《続く》

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