北海道株式会社のケース(9)vol.067

あなたは、社長の方針に疑問を呈したシステム会社が、どんなパッケージを売ろうとしているのかを【法人】に質問した。

当然、この会社の問題点に働きかける製品を勧めているはずだ。
しかし、【法人】の答えはあなたを失望させた。

「システム会社から提案されたのは、『プロジェクト型の収支管理に強い会計システム』です」

あなたの頭の中には、プロジェクト番号がズラリと記された『PJマスタ』という名称のデータ格納テーブルが思い浮かんだ。

売上・仕入のデータ、そして振替伝票仕訳などは、該当するプロジェクト(PJ)コードを付与してシステム入力しておき、あとでそのコードを目印に、プロジェクト単位でデータを串刺しに出力できるといった程度の基本形しかイメージできないが、おそらくそれの発展形ではないかと思う。

【法人】は続けた。
「プロジェクト番号を元に取引記録の抽出、売上と利益の図表化がしやすいインターフェースが特徴です。利益計画の策定資料なども簡単で素早くできる点を、特に強調していました」
あなたの想像の裏付けをするような内容だ。

おそらくもっと高い金額のものなら、より高度な機能を備えているのだろうが、北海道社のスケールに合わせた廉価版といったところか。

あなたが見たところ、それだけのシステムなら、北海道社はわざわざお金を払ってまで買わなければならないものではない。

(それは既に機械よりも的確にできている)
そもそも北海道社は、仰々しく基幹システムを導入するような規模になっていない。
規格外の道具を押し込んで、各種機能を宝の持ち腐れにしてしまうか、不必要な機能を使うために無駄な労力を奪われるか、どちらにせよ投資効率が悪すぎる。
財務体質が弱いところへ、大幅なキャッシュアウトをもたらす質の悪い投資などすべきではない。

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