北海道株式会社のケース(8)vol.066

(これはすごい)
日常使われる言葉の意味、取引先やその担当者の特徴に始まり、段取りの具体的「動作」やタイムスケジュール、そしてコストまで、図解や切り貼りで克明に記録されている。

特に目を引いたのが、その作業をした時の気持ちの動きまでが簡単明瞭に記されていることだ。

初回の戸惑いと次回以降のギャップを埋めたポイントがいくつも書かれている。

知識、アイテム、日時、天候、場所、言葉づかいと話す順序、道具の置き場所と向きなど、初心者の手引きとしてこれ以上の「マニュアル」を、あなたは見たことがない。

(これなら初めてでも、シナリオ通りになぞるだけで『プロフェッショナル』を演じることができそうだな)

ただの記録情報なら、目から入って頭で思考して、できる範囲で無理矢理記憶する。
だから腹に落ちず、忘れてしまいやすい。

しかし、情景と気持ちが記述されている『物語』は、自分をその中の登場人物として置き換えて、感情を伴ったストーリーを疑似体験できる。

「聞いた話」と「自分の実体験」の違いは比べるまでもない。
社長が少年時代から無意識に実践しているこの方法は、社員を育てるための優れた資産になっていた。

(ストーリーの疑似体験用に作っていたノートではないはずだが)
しかし、時とともにそれは充実してきていて、後半からはロールプレイで実際のセリフまで再現されている箇所まで表れてきた。

社員が増え、様々なタイプの人間に対応するため、より臨場感を出しつつ、ポイントになる点は細部まで表現したほうが効果的と判断したためだろう。

ついに、ロールプレイのシナリオだけでつづられたノートが生まれ、すでに何冊も存在していた。

あなたは今さらながら、さっき【法人】が言った「社長はかなり優秀」の本当の意味が理解できた。
同時に、『北海道株式会社の強み』も理解した。

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