北海道株式会社のケース(7)vol.065

(では、質問を変えてみてはどうか)
あなたは【法人】に、社長が原価を細かく算出することにこだわる理由は何かと訊いてみた。
が、それに対して社内で会話になったことが無いらしく、男は情報を持っていなかった。

「原価」や「会計処理」も、どうやら決め手にはならないのか……。

(財務諸表は助言のアイテムにならない)
あなたはあっさり諦めた。

ここで「少額レンタル料をまとめて計上し、経理を簡素に……」と、あくまでも会計処理にこだわって助言することもできるが、あなたにはそれが「てにをは」の添削程度の価値にしか感じられない。

あなたは元経理マンではあるが、それ以外の経験のほうがはるかに長い。
だからなのだろうか。

経理経験が全くないピカピカの素人にもかかわらず、30代後半でいきなり「決算担当」として上場企業に中途入社したようなあなたに、そもそも正当な経理マンの視点が備わっているはずがないのだ。
そんな素人には。

(素人……)
セオリーを知らない素人が、初めての事柄に直面したら、それまでに培った自分のリソースから最も適した方法を当てはめて対応しようとする。

(その第一弾は『生い立ちと性格』じゃないか?)
あなたはふとそう思った。

《続く》

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