学生を、社会経験が乏しい若造というのは簡単だ。
成熟した社会人なら、高みから批評するように見ることもできる。
しかし、当時の社長にとっては、そもそもゼミの学生たち全員が自分よりも年上だった。
おまけに、自分は作業の積み重ねを仕事と考えてきたが、この学生たちは「ビジネス」という高次元からの視点で計画を立て、その実行プロセスの一部として「作業」があるのだという。
これまで社長が考えたこともなかった「経営管理」を語っている。
二十歳になったばかりの若き日の社長は驚いた。
社長とともに会社を切り回している先輩にしても、高卒で入ってまだ3年目にすぎない。
やはりそんな考え方に接したことはなく、初めて“経営”を知ったような気がした。
二人にとってそれは衝撃だった。
何より、学生たちはプレゼン企画まで考えて実行し、競合を押さえて立て続けに仕事を獲得した。
わずかの期間に実績を積み上げる実力を、二人は目の当たりにした。