宮城県株式会社のケース(8)vol.119

(なにやら、研究所のような印象だ)
いや、実験場とでもいうのだろうか。

社員は実験動物?

いや、その生成物を得るために一定の場所を確保し、必要な設備を整えている姿を悪くいえば“家畜”と言えないこともない。

汎用的専門性(会計・税務・労務・法律・医療など)はその道のプロを用意し、社員たちには自社固有の事柄に専念させることで、余計なことに気を煩わさないようにとの方針だ。

あなたはかつて対面した、北海道株式会社の記憶をよみがえらせた。
「プロフェッショナル集団」を目指して非効率な人材採用を繰り返していた会社だ。

北海道社では、プロフェッショナルの追求は“大卒者の採用”という形をとったが、どうもこの宮城社では、豊富な資金力で器を整え、中にいる社員を純粋培養し、徹底したナレッジの掘り起こしによって職人的ノウハウを社の財産として積み上げることが主眼のようだ。

経理や労務などの士業的なプロフェッショナル部分を社員から切り離すのは、合理的なスタイルだとは思うし、社員もその分楽かもしれないが、「ひたすら卵を産むしかない」とか「痩せないように運動させない」と解釈した場合は苦しいことこの上ない。

いくら業界のキーカンパニーだとしても、一体ここまでしてナレッジを確保し、社長はその先に何を望むのか?
あなたの関心はそこに向いた。

《続く》

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