北海道株式会社のケース(3)vol.061

社長は来年30歳になるという。

二十歳で準備もなしに会社を譲り受け、そのやりくりに必死だった彼には、まだ世間知らずなところがあるそうだ。
なにより、「システム会社」なるモノとは、今回初めて接触した。

ITの技術分野の話を聞いて、いろいろ勉強になるものだと素直に感心することが多いらしい。
プロフェッショナル集団の定義に疑念を持つようになったのも、その影響だと男は言った。

(やはりな)
あなたは現社長と前社長夫妻、そして3人を引き合わせてくれた亡父に加担してやりたい気持ちになった。
彼らの意志(遺志)や、それを糧に歩んできた社歴に。

さしあたっては、システム会社が識者ぶってズカズカ踏み込んだと思われる『プロフェッショナル集団』の解釈について、あなたなりの見方を整えておこう。

(それも、『プロフェッショナル』のほうではなく、『集団』に着目してみよう)
あなたは男に、社員の人数とその構成を知りたいと告げた。

「口で言うのは大変ですから、そこのパソコンで見てください」
と、男は妙なことを言いながら立ち上がり、テーブルに置かれたデスクトップPCの電源を入れ、あなたの前にディスプレイとキーボードをスライドさせた。

「どうぞ。何でも聞いてください」

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