投稿者: 469buncho

  • 青森県株式会社のケース(終)vol.091

    (では、廃止または縮小するレンタル事業に代わる、高粗利の新ビジネスとして何が有望か)

    興味深いのは、ブログコメントの中に
    「DIY相談会を開いてほしい」

    「間取りや既存家具などの条件から、DIYのポイントになる点の勉強会とかありませんか?」

    「○○さん(社員のハンドルネーム)、ヨーロッパ家具を使った『ワンルーム住みこなし(“着こなし”のもじり)術』とか、模型を使って講義して欲しいです」

    などの声があることだ。
    しかもそういった「教育の場やコミュニティーを求める声」は、年々増えている。

    消費者の利益は、『買って、使って、捨てる』式の物的価値から、『この商品を使った自分がどうありたいか? 未来もあり続けたいか?』という、将来の自分を重ね合わせられる象徴としての価値に変わってきている。

    「こんな部屋に住んで、こういう家具に囲まれた生活」というのもそのひとつだ。

    だから、「数ある家具の中でもあなたに相応しいのはこれ」と示してくれて、しかもそれを手に入れるには高い障壁があるにも関わらず、それを突破する力を与えてくれる『ダントツに神レベルな人(や企業)』がいるところには、きっと『信者客』ができる。

    高粗利を実現させてくれるリピーターになるわけだ。

     

    そうなると、情報コンテンツの提供やセミナー開催などがハマるだろう。
    現実問題、それだけのことができる社員が何人もいるのだ。

    人前で話すことが苦手な社員もいるだろうが、たいていは克服できるし、克服しきれなくとも、そういうキャラクターを好きな人というのも必ずいる。

    さしあたって、様子見としていくつかの有料コンテンツを作って、手ごたえを見るところから始めるとする。
    ・輸入家具選びで失敗しない7つの防衛策
    ・家具選びのプロが教える『広さ別、間取り別、飾り棚DIYの秘訣7選』
    といったようなものだ。

    そして、コンテンツの売れ方を見つつ、同時にセミナー開催に関するアンケートを行って希望者を募り、顧客と直接接触するハイタッチな展開での進出も狙う。

    自社サイトや告知サイトで不特定多数向けにセミナーを通知しても、通常、反応率は極めて低いものになる。

    しかし、青森社のブログ読者ならすでに交流しているとか、強い関心を持っている相手に絞り込まれているので、比較的有効なデータが取れるだろう。

    それに、「絶対参加します! 楽しみにしてます(^_^)/~」などとコメント欄に書く信者客もいるに違いない。

    それを読んで、自作自演を疑う、うがった見方をする閲覧者もいるだろうが、素直に“人気がある”と認識してくれる人も多いだろう。

    そうなれば、信者客以外も集いやすくなる状況が作れる。
    何年にもわたり、これだけの数のQ&Aが公開されているがゆえの効能だ。

    また、講師に転向する社員が出るので、レンタル事業縮小による人員の余剰も解消され、青森社の社長が望むように、リストラで切り捨てる社員を出すことなく次の体制を築けそうだ。

    (では、いつ頃からそうなるか)
    結局、ここが避けて通れないポイントになりそうだ。

  • 青森県株式会社のケース(20)vol.090

    (『神対応』する『事務員』か)
    さっきから収まりどころが見えなかったフレーズたちが、ここへきて一気に行き場を得た。
    社長が醸成した多神教的な社風の中から、幾柱もの神々が生まれ、すでに働きを示している。

    自由度の高い社内の雰囲気の中で、レンタル品の選別や手配に精を出すことの副産物として、家具の見つけ方や調達方法、そして活用実態についての知見が社員たちに凝縮された。

    一部の社員の中には、さらに関心が高まって、海外の流行やアンティーク品について誰よりも詳しくなり、欧米のメーカーや商社又は愛好家のSNSサイトで交流し、日本のメディアでも紹介されていないニュースや事例に精通しているメンバーもいる。

    あるいは、国内メーカーの下請け企業とつながりをもって、製作現場に出入りするうちに、素材や機械工具の扱いに精通し、DIY好きが高じてログハウスの組み立てまで行えるメンバーもいる。

    それらの社員が、それぞれの知見を活かして自社の質問サイト(ブログ)の中で消費者との関係を築いている。

    あなたの思惑どおり、会社というよりも個人が前面に出た形で、直接に消費者と深くつながっているわけだ。

  • 青森県株式会社のケース(19)vol.089

    (何という奇抜な……)
    あなたの目の前に展開されているのは、ブログだった。

    企業のサイトに“スタッフブログ”みたいなリンクが張られていることはよくあるが、『お問い合わせ』ボタンで社員のブログに行き当たるケースは見たことがない。

    そこで公開されている記事は、「お客様問い合わせへの回答」だった。

    ブログのデザインで、上部の固定位置には
    “ご質問は最新記事のコメントにお書きください”
    と、目につきやすいように書いてある。

    そしてその横に、
    “内容を公開されたくない方はここをクリックしてお問合せフォームからお願いいたします”
    という注意書きと、リンク用のアイコンが示されている。

    実際にクリックしてみると、どこのサイトでも見られるような、ありふれたフォームが画面に表示される。

    クローズドされたやり取りを希望するユーザーは、ここへ書き込んで送信すれば、登録した自分のアドレス宛に返信がくるというわけだ。

    自分の問いにブログ上で答えてほしいユーザーが書き込んだ質問に対し、青森社の社員は、回答記事を投稿する。

    その際、記事の冒頭には質問者と質問内容を転記して、それへの返事として書いていく形でコミュニケーションが為されている。

     

    日付をチェックすると、ブログは4年あまり前に開設されているようだ。
    当初は事務品質の悪さを吊し上げられて、コメント欄は炎上に近い状態だった。

    承認しなかった低俗な書き込みも少なからずあったと思われるので、それらを含めると「炎上に近い」のではなく、明確な「炎上」だったかもしれない。

    しかし、事業の急成長による管理の破たん時期よりもずっと後に開設されたブログだったことと、管理充実のために泡を喰って人数を増やし、人員過剰ともいえる頃だったため、書き込まれたクレームに腰を落ち着けて対応する中から改善点が生まれることも多かった。

    それらのクレームから生まれた改善への取り組みをブログにアップして、顧客に対して積極的にフィードバックするようになると、炎上は徐々に沈静化していった。

    そして、問い合わせの内容はサービスを利用するにあたっての一般的な質問へと変化していった。

    このあたりから、『よくある質問』というコンテンツがブログ内に設けられ、来訪者にとってのプラットフォームが整備され始めた。

  • 青森県株式会社のケース(18)vol.088

    (うーむ)
    ・識者の実力を持ち、消費者の行動を誘引するポテンシャルを秘めている【法人】。
    ・その長所を引き出すカギになり得る最大の要素は『社員(人間力)』。

    あと、ひとつかふたつ、条件が欲しい。検索ワードが少なくて絞り切れないというか、どうもそんな感じだ。

    (「山っ気」「フランク」。つまり、常識の枠にとらわれない形で発想し、行動する傾向か……)
    常識的なアプローチでは見えてこない解答が、どこかにあるはずだ。

    あなたはそう考えながら、PC画面に表示させている青森社のホームページ内をあちこちジャンプする。

    (どうもピンとこない)
    青森社は業界でも指折りの企業だ。
    しかしそれにしては、サイトの内容は非常に地味だ。

    ためしに同業者のサイトを閲覧してみたが、大差はない。
    となると、業種的な傾向なのだろう。

    こういう商売では、ホームページをあまり奇抜にすると、逆に集客効率が落ちるのかもしれない。

    どこも地味な造りだからこそ、こうして比べてみると、<東京オフィス><大阪オフィス>を構えている青森社のサイトのほうが、他社より見栄えがして感じが良いことに気づく。

    (資金負担の問題さえなければ、ふたつの営業所は残しておきたいところだ)
    それが、あなたの直感的な印象だった。

  • 青森県株式会社のケース(17)vol.087

    青森社(偶然にも『社(やしろ)』だ)にまします神々は、現代経済の世界で消費者に対し『神レベル的カリスマ』を持っているだろうか?

    識者傾向の社員が多いと手相には表れているが、どれほど高い見識を持っていようが、世間に知れ渡る形で表れていなければ、到底、神レベルにはなれない。

    【法人】に質問してみたが、青森社にメディアが取材に来たのは急成長していた頃のことで、注目ビジネスとして紹介されたときだった。

    しかし、知識や教養的意味で取り上げられたような事実はなく、家具をレンタルで調達する発想と、それをいち早くビジネス化して人気が高まっていることだけが報道された。

    あくまでも会社そのものが取材の対象で、そのときにクローズアップされた社員などはいなかったそうだ。

    マスコミ報道後、一時的に増えた問い合わせの内容も、サービス説明を求めるものがほとんどで、それ以外はレンタルの依頼や、青森社に対する売り込みだけだったという。

    今のところ、あなたが探している「カリスマ社員」については、その事実どころか、それを暗示するものすら姿を見せていない。

  • 青森県株式会社のケース(16)vol.086

    通常、創業神話と呼ばれるような話はたいていの場合、一神教的な展開を見せる。
    「創業社長の切なる願いを元に、この会社は誕生した」として、創業者を神格化し、畏敬の対象にするようなものが多い。

    しかし、この青森県株式会社の創業神話は明らかに多神教だ。

    日本の古事記において、様々な特徴と個性を持つ神々が織りなす多彩な物語と同様、青森社の神話は社員たちが織りなす多彩な物語になっている。

    あなたは、北海道株式会社には「創業神話を社内に広報する目的で」社内報の発刊を勧めたが、青森県株式会社では、社長のトークがすでにその役割を果たしている。

    あなたは最初、『社長一人が感じている運命の物語などに価値は無い』と決めつけてしまったが、どうもそうではないようだ。
    青森社の社長が語り部であることが、独自の効果を生み出している。

    黄泉の国から高天原へ命からがら帰ってきたイザナギノミコトが、禊払いの時に多くの神々を生み出したように、会社沈没の不安を払拭したい一心で語り部となった青森社社長は、社員を一柱の神々としてこの会社に根付かせた。

    彼らは社長によって、存在自体に価値を見出されているという自信を持つようになっている。
    だからこそ、力も持つが慈愛もあり、他の神の個性を認めて受け入れているかのようだ。
    「フランクな社風」というより「調和のとれた社会」というほうが、相応しい気がする。

    (それなら)
    神話の神々は、それぞれが持つ独自の能力をもって人間界に影響を与えてきた。
    青森社の神々は、社会に影響を与えるような力を持っているか?