青森県株式会社のケース(19)vol.089

(何という奇抜な……)
あなたの目の前に展開されているのは、ブログだった。

企業のサイトに“スタッフブログ”みたいなリンクが張られていることはよくあるが、『お問い合わせ』ボタンで社員のブログに行き当たるケースは見たことがない。

そこで公開されている記事は、「お客様問い合わせへの回答」だった。

ブログのデザインで、上部の固定位置には
“ご質問は最新記事のコメントにお書きください”
と、目につきやすいように書いてある。

そしてその横に、
“内容を公開されたくない方はここをクリックしてお問合せフォームからお願いいたします”
という注意書きと、リンク用のアイコンが示されている。

実際にクリックしてみると、どこのサイトでも見られるような、ありふれたフォームが画面に表示される。

クローズドされたやり取りを希望するユーザーは、ここへ書き込んで送信すれば、登録した自分のアドレス宛に返信がくるというわけだ。

自分の問いにブログ上で答えてほしいユーザーが書き込んだ質問に対し、青森社の社員は、回答記事を投稿する。

その際、記事の冒頭には質問者と質問内容を転記して、それへの返事として書いていく形でコミュニケーションが為されている。

日付をチェックすると、ブログは4年あまり前に開設されているようだ。
当初は事務品質の悪さを吊し上げられて、コメント欄は炎上に近い状態だった。

承認しなかった低俗な書き込みも少なからずあったと思われるので、それらを含めると「炎上に近い」のではなく、明確な「炎上」だったかもしれない。

しかし、事業の急成長による管理の破たん時期よりもずっと後に開設されたブログだったことと、管理充実のために泡を喰って人数を増やし、人員過剰ともいえる頃だったため、書き込まれたクレームに腰を落ち着けて対応する中から改善点が生まれることも多かった。

それらのクレームから生まれた改善への取り組みをブログにアップして、顧客に対して積極的にフィードバックするようになると、炎上は徐々に沈静化していった。

そして、問い合わせの内容はサービスを利用するにあたっての一般的な質問へと変化していった。

このあたりから、『よくある質問』というコンテンツがブログ内に設けられ、来訪者にとってのプラットフォームが整備され始めた。

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