宮城県株式会社のケース(17)vol.128

逆に、なぜ今までは不倫が起きなかったのか?

いや、起きないのは当然だ。それが当たり前じゃないか。とも言える。
しかし、起きてしまった今は、起きなかった過去の姿が何か特別なものに思える。

ある時期から社長は、買収前の社長のことに関心を持ち、社歴を調べていることが多くなったと【法人】は言う。

あなたはこの宮城社という【法人】の手のひらから、この問題の解決法として、かつての社長の存在に行き着いたが、どうやら現社長も同じ方向への意識が芽生えているらしい。

現社長は、宮城社を買い取った時の社長だった創業一族の2代目から代表権を取り上げて相談役のポジションを与えたが、事実上、会社とは無関係の存在へ追いやった。
そして、経営については自身が連れてきた人物に社長のポジションを継がせ、自分はオーナーの立場をとった。

しかし、任命した社長の手腕に不満を感じて早々に解任し、自ら経営に乗り出して現在を迎えているわけだが、【法人】はその現状に不満を感じている。

あなたはその、現社長が買収時に退陣させたという創業一族の2代目社長を、もう一度呼び戻すことを考えている。

この【法人】の存在に最も適しているのは、その2代目社長だということが、あなたが【法人】の話から導き出した結論だ。

宮城社では、とにかく社員たちの存在感が強い。
おそらく、ひとり一人の気持ちが会社の存在と溶け合っているのだろう。

なぜだろうか?

あなたが社員たちの手相を見るわけにはいかないので推測するしかないが、おそらく宮城社に採用されるのは、感情豊かな人材が多かったのではないか。
社風に合うのは、圧倒的にこのタイプだからだ。

ということは、宮城社に集うのは主に、自分の想いを重ねられる職場を求める人材で、それには整いすぎた会社よりも、フランクな社風のほうが適している。

だが、そもそも「会社」という漠然とした存在に、それほどの求心力があるだろうか。

おそらく、そんな社員たちをしっかりと受け止めるトップの存在こそが、宮城県株式会社の最大の肝だったのではないか。
あなたはそう考えている。

《続く》

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