不審に思った税務署や区役所から調査が入り、あなたの収入のもとが取り沙汰されると、【法人】という秘密の存在に行き当たってしまう。
そもそも、報酬の支払調書を作るとき、あなたに報酬を支払っているのはハローワークと【法人】のはずだ。
厳密に言えば、【法人】からの報酬額が、ハローワークとあなたの間で交わされる委託契約に基づく最低保証額を下回った時の補てん金額が、ハローワークからあなたに支払われる料金だ。
しかし、ここまでの3回分はいずれも破格の金額であるため、あなたはまだハローワークからは1円も受け取っていないことになる。 このままで年末を迎えた場合、『報酬の支払者』をどう書けばよいのだろうか。
「支払者はハローワークという形をとらせて頂きます」
担当官はそう答えた。 ただし、最低保証額しか記載されないという。 ということは、仮にこの委託契約が1年続いたとしても、あなたの公的な収入は200万にも満たないだろう。
「どれくらいの金額が【法人】から支払われているか、私は存じませんが……」
担当官はそう言う。 たしかにそうだ。彼女はそれを知らされていないと話していた。
あなたがこの契約で受け取った金額は200万円どころではない。 現時点ですでにケタが違う。
しかし、税務署や自治体への報告では、そのほとんどが無かったことになるというわけだ。