オーバーフォース(3)青森県株式会社の鑑定を終えてvol.092

(……)

記帳機からあなたの手の中に戻った通帳の入金欄には、公務員を退職する頃の年収と大差ない金額が印字されている。

月収ではない。年収と同程度だ。 1回の面談の結果がこの金額だ。

銀行のキャッシュディスペンサーのコーナーで、しばし硬直するのがパターン化しそうだ。

(本当に、これでよいのか?)

ずっと事務系のサラリーマンだったあなたは、月によって凸凹のある収入には縁がないだけに、こういったことには免疫がない。 続けて多額の現金が手元にやってきたことに対して、気が小さくなっている。

だが、それは“気が大きくなること”の前兆であるともいえる。

“気が小さくなる”のは、委縮することではなく、目盛り『小』の側に大きく振れているということで、しばらくすると『大』の側に大きく振れるのが自然の摂理だ。

その時こそ名実ともに「大金を手にして気が大きくなる」という段階へ突入する。

だが、今のあなたはそれどころではない。 さっき担当官に、この契約による所得税や住民税の届け出について確かめてみた。

あなたがこの3回、【法人】から受け取ったお金は、決して裏金のような『悪いお金』ではないが、表には出てこないお金であるという話は、最初の報酬を受けた時に聞いている。

「表に出てこない大金」を収入額として申告することは、ハローワークとしてはOKなのか? あなたの質問の主旨はそこにあった。

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