岩手県株式会社のケース(終)vol.110

この手詰まりを打開するには、権威ある第三者による強烈な介入が必要だ。
飲料メーカーの気を変えるために、記事が出た後の次のステップに必要な材料が、どうしても欲しい。

そして、めくった次のページに、その『材料』は登場した。

超一流工業大学でエレクトロニクスの大家と言われ、大手メーカー数社の技術顧問を務める教授の解説が、この巻頭特集の最後を締めくくっていた。

“考えられないほどの高い技術力”
“我が国エレクトロニクス界の最奥的実力”

のっけからベタ褒めである。
教授は岩手社のオヤジさんと同い年で、プロフィールを見ると誕生日も同じだ。

理論と現場。ところは違えど同じ分野で長年たたき上げた仲間へのシンパシーがよほど強かったのかもしれないが、そこはあなたにはわからない。

が、辛口の評論で有名と紹介されているわりに、というか、プロフィールさながらの『辛口』は、オヤジさんではなく、岩手社を巡る現在の状況に対して遺憾なく発揮された。

“一時的なヒット商品のパーツなどに使われるレベルではない。この技術水準は産業の基盤を支えるような大仕事にこそふさわしく、金額に換算するならけた違いのものだ”

“ビール容器のサイズ決定程度の機能は、サイズさえ大きくすればはるかに低コストで実現できる。それに気づかない企業は営利の能力が著しく欠如している。『商売』というものを一から考え直した方がよい”

“己の手に余る宝を持ち、それに気づけないことの社会的損失。激しい憤りを感じる”

“直ちに手放すべき。これ以上岩手社を追い詰めるな”

と、かなり激しい。よく載せたな、というレベルだった。

あなたはニヤリとした。
前ページで花を持たせたビア社に対し、一転して厳しい論調だ。

あるいは雑誌社の記者が、岩手社を無慈悲に追い込んでいるビア社のことを、あなたと同じように忌々しく思っているのかもしれない。アメを舐めさせた直後に激しく鞭を食らわせていて、あなたとしては溜飲が下がる思いだった。

超一流工業大学の教授で、大手メーカーの顧問を務める『権威の象徴』から発された岩手社養護コメントが、業界最大手のビジネス誌の巻頭特集という『権威ある媒体』に掲載された。

これ以上のインパクトはあるまい。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする