岩手県株式会社のケース(16)vol.108

(どう転ぶか)
あなたにとっては初となる「【法人】の追跡調査」だ。

これまで接した【法人】たちにも、次なる行動を示唆してきたが、いずれもいつ行われるかは不明で、もし行われたとしても、それを外部から見ることしかできないあなたにとって、確認可能なものかどうかは全く予知できないものだった。

しかし、今回の岩手社に対する行動計画は明快な短期決戦だ。

ここ数週間、大手のビジネス誌を注視していれば、あなたの示唆が実行に移されたことが確認できる。

【法人】は早速オヤジさんをはじめとした全メンバーを「誘導」し始めたと信じているが、だからといって、特定個人の思考・言動・行動を変えさせてしまうような力が、それほど急速に作用することなどあるのだろうか。

(効き目の早い薬ほど、生体に負荷をかけてしまう)
あなたが岩手社以前に接した【法人】に対して施した示唆は、薬に例えるなら『体質や生活習慣との呼応によって、徐々に作用する薬効』といえる。

「長年の仲間たちとの決裂が進みつつある状態の軌道修正」を処方した▲▲社

「実直に築き上げてきた自社の能力値を、社員たちに気づかせてあげる」処方をした北海道株式会社

「無意識に優秀な社員を育て上げる社長の特性を活かした新事業案」を処方した青森県株式会社

これらの【法人】は、自社の文化や風土の長所が活かせていないとか、気づかぬうちに壊してしまっていたことが、経営上の問題として引き起こされていた。

それゆえ、たまたまシステム会社から提案を受けている対症療法のような処置を退けて、自然治癒や超回復のような作用が発揮される策を提供してきた。

言い換えれば、『本来の力』を引き出すために、余分なものや不自然なものを遠ざけるのがあなたのスタイルだった。

そんな中、今回の岩手社には「劇薬」あるいは「外科的処置」のような策を提供してしまった。

結果がわかりやすく、あなたにとって手ごたえは十分といえるが、それによって、もしも急速な悪化を始めた場合、その止め方はあなたしか知らないにもかかわらず、それを施すことはできない。

契約上、関係した【法人】と関わることは禁止されているからだ。

面談から数日後、報酬は支払われたが、それはあくまでも面談に対して【法人】が感じた価値であり、あなたが施した作戦の成功を意味するものではない。

効果の発現を待つ間にも日は進み、あなたには別の【法人】との面談がセットされ、新たな問題に取り組む日があなたを待ち受けている。

そうして待つこと10日ほど、書店でビジネス誌をパラパラとめくるのが日課になっていたあなたは、とうとう発見した。

《続く》

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