青森県株式会社のケース(3)vol.073

「社長の家は、地元でも割と知られた地主で、もともとは倉庫業でしてね……」
不動産などに縁のないあなたにはわからないが、その倉庫業を個人事業主として行っていたのには、税金対策など様々な理由があったのだろう。

あくせく働かなくとも食っていける。
あなたにとっては夢見たくなる境遇だが、金持ちには金持ちなりの苦労があるということか。

しかし、『お金が無くての苦しみ』より『お金が有っての苦しみ』のほうが上等だと思う……。

あなたのそんな個人的感慨はさておき、社長は倉庫会社を始めた当初から、そこの経営者としてというより地元の金持ちのせがれ(当時は20代で親は健在)として、同じような金持ち層との付き合いが多く、あまりモノにこだわらない鷹揚な性格でもあったため友人も多かった。

そんな友人の一人に、地元の研究機関に勤めている男がいた。

その地区は、国または企業の研究機関や工場が集まった広大な地域で、全国でも名の知れた一大都市を形成していた。
その友人は国家公務員として、ある研究所で事務官として働いていた。

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