岩手県株式会社のケース(7)vol.099

ビール供給機は、ビア社と提携している飲料メーカーの傘下企業が、開発を担当した。

最初は全機能を供給機に持たせるつもりだった。
当然、そういうことになるだろう。

しかし、供給機開発会社に費用の見積もりを出させたところ、ビア社の予算をはるかに超過していた。
さっそく値下げ交渉に入ったのは当然だ。

ただ、ビア社が親会社であるアミ社の意向を無視できないのと同様、開発会社も飲料メーカーから示唆された受注予算を減額することはできず、交渉は平行線をたどることになった。

進退に窮したビア社は、供給機開発会社に発注する機能を絞った。
音声認識、乱数発生及び自動配給機能だけを注文することとし、残りはエレクトロニクス業界の一部で評判の高い岩手社に依頼することになった。

岩手社にしてみれば、ビア社の予算的なしわ寄せを受けてしまったようなものだ。

(安い予算で高い技術を提供した挙句、今度はこき使われようとしているのか)
あなたは岩手社に同情した。

「今なら、もっと予算を大きくとれるんでしょうね。飲料メーカーにも強気で出られるはずでしょうから」
【法人】は述懐するかのように言うが、これも岩手社の社内で交わされる会話なのだろう。

予算を大きく取って、指輪偏重となっている今のスタイルを根本から変えてもらわないと、と【法人】は言う。

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