岩手県株式会社のケース(9)vol.101

(それならいっそ、無料公開はどうか?)
岩手社から技術供与を受けた企業が、量産体制の構築に成功するかどうかは一種の賭けだ。

だから、「有料買取り」に慎重になるせいで動きが鈍重になるというなら、プログラムのオープンソースよろしく誰でも閲覧可能にして、スタビライザーと同等の技術を擁した企業の参入を待つという方法だ。

ある種、捨て身の発想である。

欲に目がくらんでしまっているビア社とアミ社は、どうもその点を全く顧慮していないようだが、岩手社のオヤジさんが開発した「スタビライザー」と内輪で呼んでいる技術は非常に価値の高いもののはずだ。

ビール供給機の製造会社がビア社に出した見積金額がいくらかはわからないが、発注を諦めたほどの価格がつく技術ということだ。

それを指輪サイズで実現させたことと、事業開始後に指輪側のトラブルが一件も起きていない事実が示す「安定性の高さ」までを考慮すると、岩手社がこの技術に対して提示しても良い金額は、それとはけた違いに高額だといって差し支えないと思う。

(それほどのものを、無料公開か……)
あまりにももったいない話だ。

本来、『ビールの指輪』の事業などには釣り合わないほどの高度技術なはずで、現在ビア社に機械部品として納めている金額ではバカバカしいもいいところだ。

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