岩手県株式会社のケース(4)vol.096

(いっそ……)
と、ふとあなたは思った。

たしかに『ビールの指輪』のコンセプトは面白い。
だが、今と同じ盛り上がりはそう長く続かない気がする。
一時の過熱にあおられて、自分の姿を見失ってはならない。

(岩手県株式会社に、この仕事はふさわしいだろうか)
どちらかと言えば、高い技術力で先鞭をつけ、後進が歩む新しい道を切り拓く役割がふさわしいのではないか。

切り拓かれた道を均していくのはその後進(他社)たちで、道なき道を往くのがこのオヤジが率いる岩手県株式会社の精鋭たちと考えれば、製品を提供したビジネスが成長期に入ったのを見届けた時点で、自身はフェードアウトしていくのが自然だと思う。

せっかくヒットしたにもかかわらず、オヤジがこの仕事にこだわりを見せないのは、そういう自分の役割を知り、身を引くべき時期を察しているからこそではないか。

だからいっそ、撤退してはどうだろう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする