岩手県株式会社のケース(7)vol.099

早朝から黙々と工作機械に取り付くオヤジさんと、来訪者への応接とオヤジのフォローでせっせと働く息子たちと事務員。

みな休日返上で遅くまで頑張っている。
これ以上の負荷はかけられない。
今の状態が続けばいずれ誰かが倒れ、一人失っただけで岩手社は崩壊する。

(この場合、誰に対してどう働きかければよいのだろう)
あなたは首をひねった。

もし、今あなたの前に座っているのがビア社またはアミ社だったなら、あなたはその【法人】に次の行動を示唆すればよい。
彼らは適宜、社内の必要な人間を誘導し、岩手社を救う働きをするだろう。

しかし、残念ながら目の前にいるのは救われるべき岩手県株式会社。

職人肌のオヤジさんは、手練手管を使ってビア社を動かすような細工には縁遠い。
それに、目の前の巨額な利益をむさぼろうとするビア社とアミ社の欲望はあまりにも強大だ。
いかに【法人】がオヤジさんを誘導したとしても、効果が表れるのに時間がかかりすぎて、岩手社に犠牲者が出る方が早いだろう。

要は、指輪と供給機の造りを変えることだ。
そうすることでより多くの利用客を獲得でき、店舗展開も今よりずっとフットワークが良くなる。

名工の手が動く速さでしか進まない今の状況では、岩手社の首を絞めるビア社とアミ社も、自分たちの首が締まることになるのだ。

《続く》

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