「徹底した守秘義務に基づいて、多くの【法人】にお会いいただくことになるので、就職活動で企業と接触することは禁じられます」
(?)
当然あなたはあっけにとられる。
(……一体、何の話が始まるのか?)
「もし、私どもからの申し出に同意いただけた場合、最初に依頼者とお会いになった後、評価測定を行わせていただきます」
見当もつかない展開に、あなたが発すべき言葉は何もない。
担当官の言葉は続く。
「ハローワークから依頼者にインタビューし、ヒアリング内容を部内で協議した結果、継続してお願いする決定が出れば、本契約を交わすことになります」
要するに、まずは1回限りの契約を結び、ダメな場合はそのまま契約終了ということか。
IT活用に関する調査と相談受付とか、そんなことか?
経営コンサルタントも、分野によって細分化されている。
あなたはよく知らないが、『ITコンサルタント』なんてのも、巷にはあるのかもしれない。
それのハローワーク版といったところか。
でもなぜ、自分に白羽の矢が立ったか?
元公務員という理由ではないと思うが。
そのあと、担当官の説明は理路整然と続いた。
結局のところ、「調査し、解決手段を講じ、相手に投与する」とのこと。
あなたの発言を採用するしないは相談企業の責任。
それによって損害が生じたとしても、やはり相談企業の責任。
あなたが負うのは、見当違いな解釈をした場合の相談企業からの評価下落だ。
そうなればその後の依頼は減少し、あなたとハローワークの契約解除の可能性があるという内容だった。
予想どおり、ハローワークのお抱えコンサルタントか。
厚生労働省の天下りOBがふんぞり返っていそうなポジションだが、お飾りでは務まらないと判断されたのか。