【法人】相手の面談で、後日へ持越しとなったことを告げたあなたは、担当官からその際の説明を受けて帰宅した。
『次回面談は3日以内』という規定があるようで、どうやら次回面談の約束をした受託者は、 あなたがはじめてではないようだ。
それはそうかもしれない。
【法人】のことを信じるかどうかは別にして、受けた相談にそつなく対応するため、いったん企業名を知ってから、改めてその会社のことを調べようとするのは至極当然だ。
ホームページ、会社四季報、有価証券報告書、帝国データバンクからネットの2ちゃんねるまで、企業情報を調べようと思えばいくらでも情報ソースがある。
求人情報や、商品に対する通販サイトの口コミレビューだって、立派な情報だ。
ひと月もかけて調べつくしたら、 ずいぶん詳しくなるに違いない。
ハローワークが「3日以内」と期限を切るのは、【法人】側の要求もあるだろうが、日数分だけ受託者に支払う報酬額が発生するからという事情もあるに違いない。
情報収集に時間をかけて契約期間を長引かせる受託者も、かつてはいたのかもしれない。
せっかく得た収入源を確保しようとする人がいるのもよくわかる。
その一方、地下4階という怪しげな場所で、いきなり二人きりにされて事態が呑み込めぬまま、行き当たりばったりの頼りない面談をしたあげく、「能力なし」と一回限りで切り捨てられる『正直で素直で、小心な受託者』も、ずいぶん居たことだろう。
そんな中、「まず時間をくれ」と要求できる図々しさを持った中のひとりだ、とあなたは思われたかもしれないが、担当官の思惑など、あなたの眼中にはない。
そんな思惑とは次元を異にする、非常識なプランにあなたの頭脳は没頭していた。