だが、次の担当官の言葉は、あなたの思惑とは全く違ったものだった。
「実は今、私どもハローワーク【法人】部門からの依頼を受けてくださる方に欠員ができて、新たな人材を探しているのです」
就職支援ではなく、IT関連での業務委託ということか?
ハローワークで就職支援事業に関するデータマイニングでもしていて、その業務を任せたいということか?
だが、それならもっと適役がいるはずだ。
データマイニングには統計学的な要素が必要なはずだが、あなたの経歴とは縁がない。
だから、任されてもできるとは思えないが、ここは是が非でもできると主張して仕事を得たいところだ。
「不定期なご依頼になります」
と担当官は言う。
あなたの心はぐらついた。
それでは生活費を賄えないかもしれない。
「そしてこれが重要なのですが、私どもとの契約期間中は、求人案件に応募することはできません」
あり得ない。
あなたは絶望した。
断ろうと思ったが、もう少しだけ話を聞いてみようと思った。
救人案件への応募を禁止するほどなら、それなりのリターンがあってもいい。
「生活のための就業の機会を、ハローワークの都合で制限してしまうからには、それなりの収入条件は提示させていただきます。まずは、説明をお聞きになったうえでご判断ください」
『それなりの収入条件』という言葉に惹かれながら、あなたは彼女の次の言葉を待った。