岩手県株式会社のケース(8)vol.100

(スタビライザーの技術を、どうにか譲渡できないか)
機能を模倣、かつ量産できる会社が、さらに安価でビア社に供給を申し出れば、岩手社はこの仕事から足を洗える。

それには技術を売ることができればよいわけだが、買い手がつくかという問題がある。
それはさっきから堂々巡りしていることだが、【法人】はさらにこんな裏話をあなたに披露した。

ビア社はビール供給機の開発会社に依頼できなかった機能を、予算内でやってくれそうな企業を探し回った。
岩手社に話が持ち込まれる前のことだ。

親会社であるアミ社の後押しが得られたのでかなり手広く調べ、いくつかの心当たりを見つけることができた。

しかし、いざ交渉に入った段階で、別の問題が持ち上がった。
ビール供給機の機体の金属が、指輪との通信を妨害していることが発覚したのだ。

1回から数回の送受信では影響を受けないが、数回の送受信では混線による誤作動が心配される。

現在のスタビライザーが1秒間に128回もの送受信を行うことで通信完了としているのは、供給機の素材を手に取ってみた岩手社のオヤジさんが、それだけの交信を要すると判断したためだ。

本来は、事前にそこまでの配慮が必要な問題だったのだ。

しかし、供給機の機体を別の素材に変更させる商談は失敗した。
予算の点で話にならないからだ。

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