あなたは最後の挨拶をし、ハローワーク地下4階の秘密部屋みたいな面談室を後にした。
先に退出するのが約束事だったからだ。
(あの男は、こちらが建物を出たことを確認した担当官から連絡を受けるまで、地上には上がってこないというわけか)
今後あなたが▲▲社を訪ねてみれば、もう一度会ってしまうに違いない。
だから、そこまで芝居がかる必要もないと思うが、そういう儀式的な体面が必要なのだろう。
役所の保守的な持ち味のひとつだ。
あなたはエレベーターで1階へ戻り、ハローワークの建物を出た。
それと同時に、明日をも知れぬ不安な現実に引き戻された。
数日後、今日の面談の評価測定の結果を受けて、あなたに連絡が入るまでは、眠れぬ夜が続きそうだ。
まず、約8万円の収入が得られるが、今後継続するかどうかは不明。
そして、継続したとしても収入は極めて低空飛行なのだ。
おまけに就職活動もできない。
ため息とともに、どっと疲れが出てきた。
面談はやはり相当なプレッシャーの中で行われたのだ。
今日は料理を作る気力もない。
オリジンの安い惣菜とおにぎりで済ますか、スーパーの惣菜が値下げされるまで待つか、あなたの思案は早速むなしい堂々巡りを始めたのだった。