青森県株式会社のケース(15)vol.085

あなたは一旦手相から意識を離して考えることにした。

日々の業務が右往左往、業績も右往左往、そして社長も右往左往している心もとない状態の中で、これまで一人の離反者や脱落者が無く、採用した社員が全員残っている事実。

仕事は大変だし、業績低迷でボーナスは減り、昇給は鈍化しているにもかかわらず、ロイヤリティに変化はないどころか、むしろ増大している気がする。

ヒマなポジションの社員に対し、多忙な本部社員が変わらぬ親しみと温もりをもって「接し続けている」ことがそれを表していると思う。逆境になるほど結束が強まっているということだ。

社員たちのそんな様子は、彼らのどんな小さなボヤキやつぶやきまでをも把握している【法人】が証言しているので間違いあるまい。

(ただ、それだけのロイヤリティがあるなら、ひとりぐらい「なんとか会社の勢いを盛り返そう」と考える人材はいないものか)

あなたは社員マスタのデータに加え、履歴書の記述まで読み込んでみたが、どうもバリバリのビジネスパーソンといったにおいが感じられる社員はいない。

(おそらく、自分と一緒に働く人物像として、社長が無意識に選んだ結果がこうなのだろう)

ガツガツと頑張って儲けるより、のんびりと良い思いができるに越したことはない。
あくせくと成功を追いかけて全力でつかみとるより、もたらされた幸運を素直に享受できるのが、この社長のスタイルであり、懐の深さなのではないか。

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