オーバーフォース(2)北海道株式会社の鑑定を終えてvol.070

(あるいは、テキストマイニング的なデータ抽出をさせたせいか)

あなたは北海道社にそれを求め、【法人】はそれが『疲れる』と表現し、2度目の要求は断ってきた。

過度にリソースを使わせたことが、金額面に反映しているのかもしれない。

(あれはやはり、できるだけ使わない方が良い)

あなた自身の体調を考えても、テキストマイニングは避けた方が無難だ。

“会社に対するネガティブキーワードのトップテン”を素早くリスト化したあなただったが、それは、約10年にわたり、百人以上の会話データというけた外れのボリュームを、すさまじい勢いでスクロールさせて見つけ出していったものだ。

一つひとつの言葉をいちいち意識に上らせていたら到底完了しないので、多分、脳の言語野以外の場所で情報を処理していたのかもしれない。

あの日、ハローワークを出てからしばらくは、しつこい「めまい」に悩まされた。 テキストマイニングは【法人】のリソースを圧迫し、あなたの頭脳にもかなりのダメージをもたらすものだということを、鑑定から4日後の今もなお、わずかに残る後遺症とともに実感している。

それからさらに4日間、あなたのもとにハローワークからの連絡はなく、時間を持て余すあなたの心の中に不安が生じてきた。

【法人】からあなたへの評価が下がれば、相談依頼は無くなる。

そうなれば、ハローワークとの契約が解除され、あなたにはまた、無職の境涯が待っている。

今でこそ預金残高には▲▲社から受けた破格の報酬が残っているが、この先就職が決まらなければジリ貧になることは目に見えている。

(だからといって【法人】に営業をかけることもできない)

ひたすらハローワークからの依頼を待つ以外にないのだ。 あなたにできる唯一の『営業』は、対面する一瞬一瞬にかける誠意と実力のみだ。

(北海道社に対して、それが示せなかったか)

報酬金額は少なく、次の依頼が来ないという現実に、あなたは背筋が寒くなった。

恐怖だった。 せめてあと数回、依頼が来てくれれば、そして、初回並みの金額がもらえれば、契約が解除された後は、年金がもらえるようになるまで細々とアルバイトで食いつなぎ、老後の生活も何とかなるかもしれない。

更に連絡がないまま週が明け、月曜の朝にかかってきた電話に、あなたは淹れたばかりのお茶を置き捨ててハローワークへと急いだ。

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