今回振り込まれた金額は、前回と比べると極端に少なかった。
ハローワークの最低保障よりは遥かに多額だったので、【法人】からの報酬がそれを上回っていたのは確実だ。
しかし今回は、新要素『【法人】内のデータベース』の存在を知り、それを駆使した高度な対応ができたはずだが、前回からの大幅下落はいったいどういう理由によるものだろう。
「【法人】からの報酬金額査定の方法は、ハローワークでも知ることができません」
例の、美人の女性担当官は電話の向こうでそう言う。
予想していたことだが、あなたは混乱する。 前回の、驚くほど多額の報酬には、初回の契約金みたいなものが含まれていたのかと訊いてみた。
プロ野球選手が入団するときの契約金に相当するものが、この【法人】相談にもあるのかもしれないと思ったからだ。
「いいえ。報酬は2種類だけです。ハローワークの最低保証額と、1回の相談に対して【法人】が感じた価値に相当する分しかありません」
自由業の収入は水物だ。多い時も少ない時もある。そう思うしかないのだろう。
(そういえば、国保と年金、それと住民税はどうなるのだったか?)
委託契約が継続になったときに説明を聞いたと思うが、詳しく覚えていない。
あの時は、振り込まれた大金が本当に自分のもので良いのかという確認に頭がいっぱいだった。
(わざわざ電話をかけ直して聞くほど急ぐ話ではない)
次に会う時に聞こうと思った。 そのことに、環境の変化を感じた。
ほんの半月前までは、未払い国保の分割納付はあなたの生活を脅かす大きな要因だったはずだ。 それが今となっては、“急ぐ話ではない”と思えるのだ。
しかし油断はできない。 この仕事がいつまで続くかわからないし、続いたとしても報酬が減って毎回最低保証額しか受け取れなくなったら、収入は1か月で15~16万円程度になる。
しかも、契約期間中の就職活動は固く禁じられているのだ。 特別ボーナスに浮かれているわけにはいかない。
(北海道株式会社の規模が小さいから、▲▲社の時のような額にならないのか)
ぜひとも参考に知っておきたいことだ。