【法人】現る!(8)vol.041

そのとき、あることが頭の片隅にひらめいた。
イメージは一瞬で筋書きに展開され、思う間もなく言葉となって発された。

思考が、行動に追いついていない。
あなたには珍しいことだが、そういえばさっきから、その連続だ。

かろうじて認識できたあなたの思考は二つしかない。
(茶番に付き合わされる筋合いはない)
(逆に、こちらから茶番を仕掛けてやる)

あなたが言ったのは、今回の相談内容を一言で言えというものだった。
相手は逆らわず、たったの一言でそれを告げた。

それだけ聞き取ると、あなたは後日の再面談を要求した。
相談内容へは、その時に回答すると告げた。

「希望日はありません。ハローワークへ面談日を申し入れてください。私はその日にもう一度こちらへうかがいます」
男はあっさりと承諾した。

あなたは席を立った。

担当官から、面談終了後は、あなたが先に退出するよう説明を受けている。
地下4階に止まったままのエレベーターは、ボタンを押すとすぐに扉が開いた。
あなたはその足で、担当官のところへ向かった。

面談時間:5分(うち、沈黙時間4分余り)

(次カテゴリー『オーセンティック・セルフ』へ続く)

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