皮肉な「書類選考通過」!二股の誘惑?(2)vol.016

繁華街のカフェは、どこも満員だった。
ランチタイムに続いて、ティータイムもきっと混むだろう。
時間をつぶすため、いつもの道を外れて、少し遠回りな川沿いの道をゆっくりと歩き、夕方近くにようやくカフェに入店した。
昼食を摂っていないので空腹だったが、サンドイッチのセットは高いのでホットドッグとコーヒーにした。

出入り口に一番近いストゥール席を選び、コーヒーを乗せたトレイをテーブルに置いた。
通りを歩く人たちの姿に気を紛らわせながら、煮詰まりそうな思考を丁寧に進めたい。

ホットドッグが出来上がったので、カウンターまで取りに行く。
斜め半分にカットされたコッペパンに、ソーセージが挟まっている。
小さく噛みちぎって、ゆっくりと念入りに咀嚼する。
節約生活で、少量の食事を余儀なくされるときの鉄則だ。
こんなひもじい食事に別れを告げられる日はやってくるのだろうか。

小腹を満たしたあなたは、コーヒーを一口飲み、本格的に考え始めた。
先刻、ハローワークの担当官が口にした、いくつかのポイントを思い返す。

・ITエンジニアとの連携を重視する経営者がたくさんいる
・経営者と事業について語り合えるエンジニアは多くない
・あなたが依頼されるのは、調査し、解決手段を講じ、相手に投与すること

ITそのものの従事者になれという話はなかった。
そんな話なら、素人のあなたに白羽の矢は立たないだろう。
なにしろ “ 10年戦士 ” の技術者は、掃いて捨てるほどいるのだから。

《続く》

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