しかし、なぜか誰もがこんなにも価値を生む「データベース活用」に手を付けない。
だから、企画も実行もあなたの独壇場だった。
こういったことを、応募書類作成セミナーで書いてみたのだ。
「私どもでは、この点にとても関心を持ちました」
担当官の言葉にあなたは引き込まれた。
こんなことを言われたのは初めてだったからだ。
あなたの独壇場だったデータベース活用は、就活の自己アピール度が弱い。
ライバルがいないため競ったエピソードがなく、その成果も金銭の価格では示せないからだ。
応募書類でこのスキルを一言で表現する適当な名称がないことが、あなたにとって最大級の悩みだった。
そんな中、目の前のハローワーク職員はあなたの技能にとても関心を持ったという。
そしてさらにこんなことを言う。
「経営者の中には、ITで自社事業の強みを増すために、ITエンジニアとの自在なコミュニケーションを取りたがる人がたくさんいます」
(それは良くわかる)
あなたは、かつて自分が勤めた人材会社の社長もそう言っていたことを思い出し、担当官にうなずいた。
「ご存じかもしれませんが、残念なことに、経営者と会社の事業そのものを語りあって、社長さんを満足させられるエンジニアは多くないのです」
(それもそうだろうな)
あなたは実感と共にうなずく。
社長が、朝礼でボヤくように言っていた。
『連中は宇宙語で話すから、会話にならない』 と。
『そして、こっちの言うことを理解できないから、訊いてることに回答してこない』とも言った。
ボヤキではあるが、何度も繰り返すのはそれだけ期待も大きいということだ。経営者の、情報活用へのニーズが高いことがうかがえる。