皮肉な「書類選考通過」!二股の誘惑?(8)vol.022

『起業支援の【法人】受付部門』
これについて調べようと思いついたのは、土曜日の朝だった。

昨日あなたと会ったあの若い女性担当官は、自分はそこの担当者だと名乗った。
しかし、ハローワークのホームページをいくら探しても、そんな部門はない。
起業支援活動のページから探しても、それらしき情報は見当たらない。

「生活のための就業の機会を、ハローワークの都合で制限してしまうからには、それなりの収入条件は提示させていただきます」
彼女はたしかにそう言った。

具体的には、どういうことなのだろうか?

契約書には「最低限度額として、本契約の締結日から起算して、【法人】への対応後、評価測定協議の最終日までの日数(勤務を要しない日を含む)に、直前に受給した失業給付の日額相当を乗じた金額を支給する」 と書いてある。

読み取りづらい条文だが、元公務員のあなたにとってはありふれた文章だ。
難易度としてはむしろ序の口レベルだ。

担当官によれば、2週間以内に相談を受けるそうだから、仮に14日間とすれば、その間に8万円前後の収入が期待できる。
その間、就職活動をしてはならないという点が、通常の失業給付と正反対な特徴だ。

しかし、「それなりの収入条件」と担当官は言ったが、これではまともな暮らしができそうにない。

何よりもまず、普通の勤め人だった頃に借りたこのアパートの家賃負担は大きすぎる。しょぼい部屋でさほど高くない部屋代だが、ハローワークが提示している低賃金ではそれすらも払うことがままならないだろう。

とはいっても、敷金・礼金・仲介手数料・火災保険料・引っ越し費用などを捻出できない。
ハローワークの役人は、きっとこの事情を理解してくれないだろう。

《続く》

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