青森県株式会社のケース(13)vol.083

(変だな)
むしろあなたは、そのことのほうに違和感がある。

経営状態が悪く、多忙でギスギスした職場においては、支社や営業所などは問答無用で下層階級の扱いを受け、そこがヒマだとなるや、やっかみも手伝って本社での不満のはけ口になるケースは多い。

折に触れて悪口の対象になっていてもおかしくはないのだが、青森社ではそういうことは無いようだ。

(地理的な条件のためか?)

ふたつの営業所の所在地は、東京と大阪だ。
むしろ本社のほうが「地方」と呼ばれるのが一般的な感覚だ。

「大都市へのあこがれ」が、ヒマな営業所に価値を与える原因となっているのだろうか?

(そんなに単純ではあるまい)
では、東京と大阪には、社内でも特に強い影響力を持った社員が所長になっているということか。

あなたは社員マスタをもう一度見直してみた。

青森社の第一次成長期は、先ほど確認したとおり、パート3名を含む5人で取りまわしていた。
この時の「5人」というのは社長を含めての数だ。
当時の社員は1名だけだ。今や社長の右腕となっている。

彼は東京営業所の初代所長として8年ほどトップを務めたが、今は本社にいる。

東京営業所は通勤圏内だったので、社長も足繁く顔を出してほぼ二人で立上げを果たしたが、続いて発足させた大阪営業所はそうもいかず、現地雇いの社員を大急ぎで育成し、配置人数を増やすことでカバーした。

営業9人のうち、大阪が最も多い4名体制となっているのはその当時の名残である。

つまり、トップとナンバー2は本社にいる。
そして、本社の衛星的な位置づけの東京営業所と「外人部隊」で構成された大阪営業所には、どっしりと構えて本社への睨みを利かせているツワモノなど存在している様子はない。

《続く》

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