いっそ、占ってしまえ!(6)vol.047

あなたは無論、【法人】などという存在は信じていない。
しかし、その設定に調子を合わせるところが重要なポイントだ。
【法人】と名乗った相手に対し、個人向けの占いをしたのでは共感的理解が示せない。

手のひらの線や丘、あるいは手や指の形状など、手相を構成するあらゆる要素を【法人】に置き換えて鑑定することが必要だ。

あなたが【法人】とハローワークに要求した3日間は、『要素の置き換え』の創造に費やすための時間だった。

占いになぞらえた面談で、あの男自身の性格特性や問題点などを聞き出し、それに対して的確な分析やアドバイスができれば、相手もあなたの能力を認め、それによって何か次の展開も開けるだろう。

今回、▲▲社の人間が来ているのなら、思ってもみない形で面接を受けることが出来るのだから、ここであなたの実力をアピールし、上手くいけば採用される可能性だってあるかもしれない。

そのためには、【法人】に対する占いが、あまり的外れな内容にならないよう、手相の各要素が個人のものとかけ離れないようなアレンジが必要だ。

一方的にしゃべっては不利になる。
相手から、できるだけ多く会社のデータを引き出し、即席のデータベースを基にした面談に持ち込みたい。

手相をダシにして、定量/定性を問わず、とにかくデータを吐き出させるためのトークのプランはある。
そういうことに関しては、あなたの経験値は高いほうだ。
特に、少年時代から二十歳そこそこのあなたが、ずっと年上の人間から『大人の悩み』を聞き出すというハンデをクリアするには、確かな技術の裏付けがなければならないが、それをクリアしてきたという点は少し自信を持っても良いかもしれない。

ただ、これらはあくまでも個人に対してだ。
今回は、個人から法人への変換という、想像もしなかった条件が加わり、大いに難易度が高い。

(生命線は、【法人】向けならどんな意味合いを持つことになるだろうか?)
3日後に向けたあなたの思考はそこから始まった。

(【法人】鑑定第1エピソード『古参社員の声を聞け(▲▲社)』へ続く)

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