いっそ、占ってしまえ!(4)vol.045

自分からも他人からも未知の領域に潜在する自分。

当然それは、本人が内省視しても視界に入ってこない。
もちろん、他人からも見えないから、対人接触のリアクションからうかがい知ることもできない。
だからこその「未知の領域」なのだ。

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もっとも、無理に解明しようとしなくても、本人の学びや成長によって「4(Unknown Self)」が「2(Blind Self)」や「3(Hidden Self)」に浮上することはある。

それが長所であれば伸ばし、短所であれば正せるようにもなる。
あるいは、他人に見せたくなければ隠せるようにもなるだろう。

いわば、「4」の扱いは時間の経過と、偶然に任せるしかないとも言える。
隠れた存在のまま、本人の人生に陰陽をもたらすブラックボックスが「4」の領域の正体だ。

しかし、そんな「4」に対し、偶然にもあなたは少年時代に、アプローチするきっかけを得ていた。
無論その頃は、「ジョハリの窓」などという難しい理屈などは知らない。

テレビで興味を持ち、何となく始めた『手相占い』というものが、いつしかあなたの特技になっていた。

『本人や周囲が気づいていなくとも、とにかく手のひらに書いてあるデータを読み解き、目の前の依頼人に合わせて説明の文章を組み立てる』

高校生の頃ではあったが、多読家で、作文が得意だったあなたは、クラスメートを片っ端から鑑定した。
友人以外にもアルバイト先などで大人たちの手相も鑑定し、時には鑑定書を書いて渡すこともあった。

意外に評判が良く、鑑定実績が100人を超えたのは、ほんの数ヶ月後のことだった。

《続く》

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