カテゴリー: 6:【法人】における不倫問題(宮城)

  • 宮城県株式会社のケース(1)vol.112

    何か複雑な気持ちだ。
    あなたは顔にこそ出さなかったが、この後の面談はどういう展開を見せるだろうかと戸惑った。

    まさか【法人】から不倫の相談を受けることがあるとは、思いもよらなかった。

    まあ、【法人】という存在からの相談自体が、しばらく前までのあなたには思いもよらないものだったが……。

    (これも『口コミ』のせいか)
    北海道株式会社の面談後、にわかに広まったと思われる【法人】間でのあなたに関する口コミ。

    どんな点が、どんな具合に好評だったのか、それはあなたに口コミのことを教えてくれたハローワークの担当官も知り得ないことだ。

    当然、あなたにもわからない。

    自分が【法人】の目にどう映り、何を期待されているかわからないまま接すると、ついつい自意識過剰になる。

    試みに、目の前にいる「宮城県株式会社」に尋ねてみた。
    【法人】間でのあなたの口コミについて。

    「他の【法人】の考えをここで話すことはできません」
    宮城社は怪訝な顔で答えた。

    これ以上の質問は、あなたにとってもよくないことになりそうだ。
    事業に関すること以外で、下手に【法人】の事情に踏み込むことはタブーなのだろう。

    深掘りすると、それこそ契約終了になってしまう恐れがある。
    今、この仕事を失ったら、あなたは小金を持った程度の失業者に逆戻りだ。

    (ひょっとすると、以前にもこういった「深掘り」をして解任になった担当者もいたのではないか……)
    あなたは、これ以上この話題に触れることを避けた。

  • 宮城県株式会社のケース(2)vol.113

    行く手を阻む様々な問題を乗り越えた先の未来を信じ、今の「不快」をすべて「快」に変換し続けられるのが『夢』だとする。

    一方、行く手を阻む重苦しく具体的な問題を棚上げし、目をそらすために未来を妄想し、つかの間の「快」を繰り返しているだけなのが『自己満足』と言えるだろう。

    単なる自己満足を、夢へと成長させることで、行き詰っていた道が開けてくることはある。
    ただし、何でもかんでも夢に変えてもよいのか、ということだ。

    不倫が「単なる自己満足の2人前」にとどまっているからこそ、周囲を巻き込んでの大騒動を引き起こさずに済んでいるという現実もある。

    ある意味、当事者たちの倫理により、単なる自己満足的な不倫に抑えているという側面もあるだろう。

    これを夢に変えようと勇んでしまったら、どちらかの、あるいは双方の家庭を破壊し、家族親族との決裂が起こるだろう。

    他に、仕事面では左遷・離職、地域社会ではウワサ話と白眼視などといった「行く手を阻む様々な問題」が発生することも想像に難くない。

    どんな逆風のさなかにあっても、それを乗り越えた先の未来を信じ、今の「不快」をすべて「快」に変換し続けられる覚悟はあるか?

    結局、『夢』とは『覚悟』であり、『自己満足』とは次元が違うのだ。

    目の前にいるのは【法人】だが、ついあなたはそんな感慨にふけった。

    《続く》

  • 宮城県株式会社のケース(3)vol.114

    (やはりここは王道をとって、人事データを見てみるべきだろうか)
    【法人】に社員マスタを表示させ、不倫フラグ(!)に「1」を立てた社員だけを抽出した。

    不倫の相手が社内に存在する同士で並べてみると、男性が年上のカップルがほとんどだが、女性が年上という組み合わせもある。

    男性が年上の場合、ふたりの年の差は大きいのに比べて、女性が年上の場合は年齢差がさほどない点があなたの目を引いた。

    (こういう関係の場合、年下女性は相手の男性に「父性」を求め、年下男性は相手の女性に対し、「姉性(?)」を求める傾向があるのだろうか)

    しかし、女性側から「父性」を求めるほどの年上男性が、その付き合いが深まるにつれ「未成熟さ」が顕著になるケースも多く見られ、予備情報なしで女性のほうの話を聞いていると、彼女の不倫相手は同年代のいかにも頼りなげな男性像として思い浮かんでくる。

    そんな場合、しばらく話を聞いた後に相手男性の年齢を聞いて驚くこともあるが、彼女たちの多くはなぜか、相談に来たにもかかわらず、当初は相手男性の年齢を明かしたがらない傾向があり、どこかで心理的なブロックが働いていることがうかがえる。

    あるいは、相手男性から父性を感じる一方、逆に自らの母性を相手に当て込んで、まるで我が子を守るかのような態度に出てしまうのかもしれず、だとすればこれは共依存の一種かもしれない。

  • 宮城県株式会社のケース(4)vol.115

    結局、いつもそうであるように、あなたは相手の問題よりも相手自身のことを知ろうと試みた。
    あなたの問いを受けて、【法人】は語り始めた。

    宮城県株式会社は、フィルターと送風機の製造及び販売を行う中小企業だ。

    元々は空調機械用部品のメーカーで、特にフィルターと取付のジョイント部品を専門に扱っていた。

    いくつかのメーカーに部品を卸していたが、ある大企業が宮城社の買収を画策している噂が流れ、業界に波紋が広がった。宮城社がどこか1社の傘下に入られると困るメーカーが複数あり、それらの主要株主である一人の投資家が、先手を打って宮城社を買い取った。

    (なるほど)
    少し興味深い話で、このまま空調機業界の裏側の話を聞いてみたい気もするが、今は鑑定を全うすることに集中しなければならない。

    宮城社を買い取った投資家は、社長を続投させたのか、別の経営者を送り込んだのか?

    それと、当然ながら会社に大きなストレスが発生しているから、社員たちが受けた衝撃も大きかったに違いない。不倫との因果関係も疑われるところだ。