カテゴリー: 6:【法人】における不倫問題(宮城)

  • 宮城県株式会社のケース(13)vol.124

    (なるほど)
    社長が性に奔放・倫理無視といったタイプではないということはわかった。
    社員たちに社長の性向が反映して不倫が起きているというものでもなさそうである。

    では、現在社員たちの間に起きている恋愛依存とも言えそうな状況について、社長はどう感じているのか?

    先ほどあなたの心をよぎった「社長にとって会社は研究所、又は実験場」という印象そのままに、どうも社員との間がサバサバしすぎていて、不倫などどうでもよいと思っていそうな気がする。

    しかし、社員の不倫がその家族に露見したときの家庭生活崩壊により、社長が重視する「人」、又は「人が働く環境」から得られるナレッジの収穫に影響が出るリスクは高い。

    客やマスコミなど、外の存在に発覚したとき被るマイナスイメージの払しょくに、余計な資源が浪費されることも、やはり好まぬところだろう。

    そのような心情を社長が社内で口にしたことがあるなら、【法人】に直接聞けば回答が得られる。

    社内の会話は【法人】の記憶に残るので、あなたの質問には隠すことなく事実を話すことが、今までの経験からわかっている。

    だがこの【法人】の場合、下手に質問すると、講義調の演説を始めて無駄な時間と労力を要する傾向がある。

    そしてそれに対するこちらの戸惑いや気遣いに対する、やや見下すような独特の臭みは、あなたにとって気分の良いものではない。

    できれば回避したい。

    かといって、こちらが一足飛びに本質を深く突く質問をすると、意外に理解が鈍い。
    するとそれを誤魔化す苦し紛れの演説が始まる傾向も、この【法人】にはある。

    インテリ気取りによくあるタイプだ。
    面倒くさいタイプとも言える。

    (かつて、そんな上司が自分にもいたな)
    当時のやりづらさが想起される。

    《続く》

  • 宮城県株式会社のケース(14)vol.125

    あなたは、【法人】に手のひらを差し出すよう促した

    miyagi
    宮城社両手

      個人   【法人】
    生命線 取引線(売上仕入線)
    知能線 製品線
    感情線 社員線
    太陽線 市場線
    財運線 キャッシュフロー線
    影響線(生命線) 影響線
    ⑥’ 影響線(運命線) 影響線
    向上線 士業線
     

    ③社員線が異常に強く、会社と社員、そして社員同士の連帯感がこの会社のカラーを作ってきたといっても過言ではない。

    あるいは会社というよりも“運命共同体”と呼ぶほうが、より実態を表しているかもしれない。
    大きな会社の傘下で守られながら、独自路線の追求に専念できれば、きっと今回のような買収騒ぎの舞台に躍り出ることも無く、その仲の良さで業界に大きく貢献できただろう。

    すでに起きてしまったことは仕方ないとはいえ、宮城社を守ろうとして買収した新社長は、従来この会社が持っていた生産性の高さに惚れ込んで、その長所を愛でた。

    (高付加価値をもたらす連携の良さを、主要業務に集中させれば、宮城県株式会社は圧倒的な業界リードの地位を手にすることができる)
    そんな狙いが新社長にはあり、だからこそ買い取ってまでこの会社を守ろうとしたのだった。

    深く愛してしまったがゆえの強化施策が仇になったことに気づかぬ社長のひとり相撲が、今日のこの状態(不倫多発)を招いているとは思うが、それをどうやって止めさせるのが良いだろうか。

    左手の生命線から出発して人差し指へ伸びるのは『⑦向上線』だが、【法人】にとってこれは士業などのプロフェッショナル事業者とのかかわりを示す。

    一般的には会計士や税理士や社労士などだが、そういう社内業務の延長にある事柄については、外部からの過干渉は宮城社には逆効果といえるだろう。

    むしろ、会社が持つ権利を法的に守ることや、海外や国内の先進事例調査、または新社長がやったような原料素材の海外レートの読みといった投機的視点の専門家をこそ、士業線の裏付けとして用いるべきだと思う。

    (見える部分のインフラに特化してしまったが、そうではない部分のインフラだけでよかったのだ)
    あなたはそう思った。

    問題は、社長の想いと【法人】の在り方が一致していないことだが、不倫の問題を片付けるために大規模な方向転換を急いでしまうと、社長の野心に宮城社の姿がそぐわないことが顕わになってしまう点だ。

    今、新社長が宮城社から手を引いてしまうと、元々この会社を買って売り抜ける目的だったハゲタカファンドが息を吹き返して、再び魔の手を伸ばして来ることだろう。 だから、新社長の庇護は引き続き必要なのだ。

    左手の⑤投資キャッシュフロー線がすさまじく勢いがあることから、新社長が思い切って実施した宮城社へのテコ入れ効果が高いことが読み取れる。

    《続く》

  • 宮城県株式会社のケース(15)vol.126

    かなり思い切った方針転換が必要だ。
    【法人】の手相を読み取ったあなたは、これからしゃべろうとする自分自身の考えにたじろいだ。

    本当なら、社長と直接話して決めたい。

    ただし、この【法人】相談では意思決定のポイントが違う。

    これまであなたが携わった問題は、常に共通していた。
    【法人】の性質に、会社が置かれた状況がそぐわない時、様々な問題が生じているのだ。

    その時会社を率いている社長の方針すらも、「【法人】が置かれた状況の一要素」にすぎない。
    そういう意味では、社長と話したとしても真の解決に至ることはできないだろう。

    あなたがこれまでしてきた【法人】への示唆は、社長の方針とはずいぶん違ったものが多かった。
    中には、真っ向から否定したものさえある。
    例えばこんな感じだ。

    ▲▲社
    経営効率化の旗印を掲げて、先代から長年かけて築いた信頼関係を手放そうとする2代目社長にストップをかけた。

    北海道株式会社
    サービス品質に比して営業力が弱いことに悩む社長が、無謀な採用活動で【法人】を消耗させることをやめさせた。

    岩手県株式会社
    「高品質・少量生産」の持ち味とは相性が合わない、浮ついた流行関連部品の過剰なニーズに対しては、ビジネス自体を手放させた。
    この判断は社長の方針には合っていたと思うが、さすがにやりすぎ感をぬぐえない。

    しかし、あなたがしてきたいずれの示唆も、【法人】から一定の評価は得られた。
    毎回の報酬額が、ハローワークからの最低保証額を上回っているのは、【法人】があなたの相談対応に価値を感じたからだ。

    ためらいは大きいが、今度の場合も、この宮城県株式会社に対してひとつの示唆を行うだけにすぎないといえる。

    (この【法人】には、やむを得ないだろう)
    あなたは心を決めた。

    《続く》

  • 宮城県株式会社のケース(16)vol.127

    かつての社長の復帰。

    これが、あなたが出した結論だ。
    今の社長には、会長に退いてもらう。
    代表権は持たせたままでよい。そうでないと、資金面などで現在のような注力は難しいかもしれないからだ。

    現社長には、宮城社を使って成し遂げたい野望があるようだが、しかしこの不倫の蔓延について、やはり言い知れぬ不気味さと、関係者に露呈したときの恐ろしさを感じていたらしい。

    社内で部下に対し、その不安を口に出して言った事実はただの一度もなかったが、たった一度、机上のパソコンで検索サイトに『社員の不倫 法的リスク』と入力し、表示されたリストを見る間もないほど即座にブラウザを閉じた履歴があることを、あなたは【法人】の話で知った。

    おそらく弁護士のところにでも行って相談したのだろう。
    が、その後も会社の中では弁護士との会話などはしておらず、側近たちにも一切話題を切り出さなかった。

    これらのことから、社内不倫のことを知った後も、それに関する言動や行動を慎んでいたことがうかがえる。
    トップの自分が部下たちにあたふたした自分の姿を見せたくなかったのではないかと思う。

    それなのに、魔がさしたように自席のパソコンでキーワード検索をしてしまい、すぐに我に返ったのだろう。
    社員たちに余計な動揺を与えないよう自分を律していても、やはり、かなり切羽詰まった気持ちだったに違いない。

    (どこかに、この事態を収めてくれる人物がいないだろうか)
    そう思っていたこともうかがえる。

    不倫している社員の人事記録を引っ張り出し、長い時間凝視した後、ため息をついてそのまま棚に戻したことも、何度かあった。
    初めての経営者体験の中、これまで感じたことのある孤独感とは明らかに別種の、経営者ならではの辛さを実感したのかもしれない。

    企業情報なら過去から未来までを読み通せる投資家社長も、なぜこんなにも社員たちの間で不倫が蔓延し始めたのかという謎は、解明できなかったようだ。

    《続く》