カテゴリー: 1:コンサルタントになりませんか?

  • 皮肉な「書類選考通過」!二股の誘惑?(11)vol.025

    「現在、相談を希望している【法人】がたくさんありますので、本日の契約締結後、直ちに受付の選定作業にかからなくてはならないのです」
    8時半に、後ろめたい気持ちで恐る恐るかけた電話。

    担当官の声は、あなたの虫の良い考えを、早々に打ち砕いた。

    「先週お話ししたことですが、今回、欠員が出たための依頼ですので、もしお断りになると分かれば、すぐに別の候補者をあたらなければなりません」
    その場での決断を迫られた。最も恐れていたことだ。

    あなたの生活が、そして人生がかかったこの決断を、それこそ断腸の思いでしなければならない。
    しかも、早急にだ。
    沈黙するあなたに、担当官の声がさらに追い打ちをかけた。

    「このあと午前中に面接をお受けになっても、午後にハローワークとの契約を締結したら、速やかにそちらの会社へ辞退を申し入れて頂かなくてはなりません」

    (……)
    それでは、▲▲社の面接を受ける意味がない。
    やはり、ハローワークの依頼を断るべきだろう。
    あなたは受話器を握りしめ、ゆっくりと息を吸い込んだ。

    《続く》

  • 皮肉な「書類選考通過」!二股の誘惑?(12)vol.026

    あなたは受話器を置き、ガックリとうなだれて深いため息をついた。

    人生の道に現れた救い主が、せっかく差し伸べてくれた手を、あなたは悪魔のささやきに惑わされて、振り払ってしまったかもしれない。

    今この瞬間のあなたを見て悪魔はほくそ笑み、天使は悲しげに眉をひそめている気がする。

    結局あなたはハローワークの依頼を受けることにし、▲▲社のほうへは、「昨日からインフルエンザを発症したため行けない」と、嘘を言ったのだった。

    『別のところが決まったから』とは、あえて言わなかった。
    その “ 別のところ ” は、たった1回限りの契約なのだ。
    「決まった」などというフレーズは相応しくない。

    それに、病気が原因なら、万に一つ、別の日取りで面接が組まれるかもしれない。
    だからあなたは、▲▲社へ電話する前に、
    「完治したら是非、前向きに考えさせて頂きます」
    という言葉を準備しておいた。

    しかし、▲▲社の人事担当者は、
    「ではまたご縁がありましたら」と言って電話を切った。
    「お大事に」とも言っていた。
    是が非でもあなたが欲しいというわけではないと言い渡されたも同然だ。

    あなたはスーツの上着を脱いで足元へ落とし、ネクタイを外すと、くたびれたベッドの上に倒れ込んだ。
    しごとセンターのアドバイザーへ、断ったことを電話する気にはなれない。
    メールで連絡しておこうと思ったが、それも今すぐする気にはなれなかった。

    《続く》

  • 皮肉な「書類選考通過」!二股の誘惑?(13)vol.027

    その日の正午、朝のスーツ姿から私服姿に身を変えたあなたは、ハローワークへの道をトボトボと歩いていた。

    3日前のほぼ同じ時刻、あなたは同じ道を、伸びやかで、少し誇らしげな気持ちで歩いていたはずだが、今は心に大きな風穴が開いている。

    片側3車線の大きな道路を越えると、ハローワークが入っているビルだ。
    信号が青に変わっても、渡らずに立ち止まっている自分に気づく。
    到着を遅らせたい心理が、あなたの足取りを重くさせるのだ。

    しかし、▲▲社の面接を断り、他の応募中企業から何のリアクションもない現在の状況では、道はひとつしかない。
    請けるしかないのだ。ハローワークからの話を。

    今朝から何度ついたか忘れるほどのため息を、また深々と吐き出す。

    人生のボタンを掛け違えたのは、過去のあなたのどの決断だったのか……

    顔を振り上げて空を見た。
    やはり今日もまた、曇り空だった。

    (次カテゴリー『顧客2段階の法則「新規獲得とリピート獲得」』へ続く)

  • めざせ! 相談業でのリピート顧客獲得(1)vol.028

    総合窓口で、担当官を訪ねてきた旨を告げると、すぐに案内された。3日前とは違い、今度案内されたのは応接室だ。

    あなたは自分の服装を見下ろし、少したじろいだ。そういえば今日は、改まった契約締結の場だ。
    今度はきっと、彼女の上司も同席しているだろう。もう少しまともな格好で来るべきだったかもしれない。

    動揺するあなたの内心など知る由もなく、案内の係員はドアをノックして開け、あなたに入室を促した。

    遠慮で少し伏し目がちに足を踏み入れ、そっと顔を上げると、担当官が立ち上がってあなたを迎えている。
    今日は中間色のパンツスーツだ。
    前回はテーブルに隠れて全身は見えなかったが、思っていた以上にほっそりしたスタイルだ。
    豊かな黒髪が、スーツの色とのコントラストで、衣装以上に引き立って見える。

    彼女はかすかな笑みと共に、あなたに着席を促した。
    他には誰もいない。今日も一人なのか。
    それも気にはなったが、まずはさっきの電話の件だ。担当官の方から口にしてきた。

    「いかがされましたか。面接のほうは」
    あなたが断ったことを告げると、担当官はそのことに感謝し、改めてあなたの意思を確認した。

    あなたの答えは、言うまでもない。もはや、まな板の鯉だ。
    8万円の収入の為に、チャンスをフイにしたのだから。

    《続く》

  • めざせ! 相談業でのリピート顧客獲得(2)vol.029

    担当官は早速、契約内容の詳細説明を始めた。

    「守秘義務に則り、面談室で交わされたいかなるやりとりも、決して他言することはできません」

    この話は前回の対面時に聞いているが、よく聞くとあなたの認識とは違っていた。

    「もちろん、私どもハローワークの職員にも、面談内容を話すことができません」

    つまり、面談時に何を言われ、何をされたとしても、それを訴えることは禁じられるということだ。

    ハローワークと接触する多数の企業の中には、人格的に壊れているような輩だっているかもしれない。

    依頼人の立場をいいことに、『評価を下げるぞ』などと脅され、暴力を振るわれたとしても、そのことを誰にも言えないということだ。

    あなたは気になって、これまでこの仕事を担当していた前任者が、なぜ辞めたのかを担当官に訊ねてみた。

    「残念ですが、それはお伝えすることができません」
    どうにも怪しい。
    この契約の為にフイにしてしまった▲▲社のことが、あなたの頭いっぱいに広がった。

    (やはり、あちらを選ぶべきだった……)
    悔やんでももう遅い。やはり、こちらが悪魔のささやきだったに違いない。
    天使はあのとき、あなたの頭の上で▲▲社を指さしながら、「こっちだよ」とあなたを必死に導いてくれていたと思う。

    (悪魔のささやきなら、せめて愛想ぐらいよくしたらどうだ)
    あなたがそう考えていると、愛想はともかく、担当官が説明を補足した。

    「もし、面談室で人道に反するような行為が行われ、受託者(あなた)に著しい各種の損害が生じた場合は、当然裁判になると思います。そのとき裁判所の命令があれば、面談室内の事柄は開示しなければなりません」
    それはそうだろう。

    「でも、現在までそういった争議は1件も起きていません。これまでに、この業務委託を請けて頂いた方は、契約締結時に必ずそこを確認されますが、結局それは全て、締結時だけの心配となっているのが事実です」
    信用してよいものだろうか。いくら役所だからといって。

    (署名捺印さえしなければ、こんなものに振り回されたりはしない)
    だが、頭の中では砂時計がサラサラと落ちていく。
    残り少ない上部の砂は、あなたの生活資金だ。

    時は金なり。世の中は金がすべて。
    そう、今のあなたには、選択の権利はあっても、選択の余地がない。

    《続く》

  • めざせ! 相談業でのリピート顧客獲得(3)vol.030

    担当官からの電話を受けたのは3日後、木曜日の朝だった。
    面談は来週火曜日の午後2時。
    総合受付には立ち寄らず、定刻10分前に面談室へ入り、相手を待つようにと言われた。

    なお、担当官は同行せず、案内もないという。

    いよいよ怪しい。
    外部との連絡を徹底的に排除し、当事者同士以外の接触を完全にシャットアウトする。

    本当に、そこまでしなければならないことなのか。
    相手の社名も、担当者の名前も謎のままだ。

    あなたは、今朝からまだ起動していないパソコンに、チラリと目をやった。
    月曜日から3日間、就活は停止している。
    応募書類を作らず、転職サイトのチェックもしていない。
    こんなことは、本当に久しぶりだ。

    ハローワークへも行かず、時間に余裕ができたのに、恒常的な焦りを感じて落ち着かない。
    強迫観念に駆り立てられて就職活動の日々を送っていたが、いつしかその「強迫観念」こそがあなたの支えになっていたことに気づく。

    つっかえを失った恐怖感ばかりが募り、せっかく得られた時間的余裕が目に入っていない。

    (正社員時代、休日の朝は何をしていたか)
    もはや、あいまいな記憶だ。
    溜まった洗濯物を、洗濯機の2回まわしで片づけ、散らかった机の上を片づけ、ぼんやりとショッピングモールを閲覧し……。
    たしか、そんなパッとしない1日のスタートから、平坦な時間を過ごしていたような気がする。
    平日の5日間、猛烈に効率を追求してきた分を埋め合わせるように、週末に無為な時間を垂れ流してこられた時代は、なんと、もったいなくも平和な生き方だっただろうか。

    そして今、急に時間ができても、何をしてよいかわからない。
    時間を埋める指向性がなくなっているのだ。

    近所のカフェ店で食欲をごまかしつつ、安いコーヒーを飲んで時間をつぶすこともできるが、平日の昼間にしょっちゅう通うのは、どうにも世間体が悪い。

    無職である自分を、自分自身が恥じているために、人の目が怖いのだ。
    まるで、労働力を提供する代わりに社会での存在を許されているかのように。

    このことは、公務員を退職し、初めて職を失って取り乱したときに初めて気づいた。
    あなたが感じる強迫観念は、実は自分の無力感に気づいてしまったときの発作かもしれない。

    自分で自分を認めていないからこそ、あなたのことを心から認め、応援してくれる真の友人、傍らにいてくれる真の恋人、そして天職にも巡り合えない。

    本当は、自分に起きた事象を焦って解消しようなどと考えず、素直に受け入れて時の流れに身を任せることが、あなたにとっての課題なのだ。

    それに本腰を入れ始めた時こそ、見えなかった目の前の扉が開き、あなたの本当の人生がスタートする。

    本当の苦難、本当の喜びに出会える、あなたが居るべき世界だ。
    そこには、本当に分かり合える友人や、心から愛し合える恋人や、生涯かけて取り組める天職が待っているはずなのだ。

    今の状態こそ、そこに気づける好機なのだが、そうもいかないまま日を送り、日曜日を迎えた。
    週が明ければ約束の火曜はすぐそこだ。

    《続く》