(!!!!!)
翌朝9時を待ちかねて早めにPCでチェックした銀行残高を見て、あなたは息をのんだ。
今までの人生で、自分の預金残高ではお目にかかったことのない桁が並んでいる。
(こんなことがあるはずがない!)
何かの間違いだろう。きっとそうに違いない。 あなたは通帳を持って家を飛び出した。銀行へと足を速めながら考えた。
(きっと、9時になれば正しい金額になっているに違いない)
鼓動が早まり、呼吸が早く短くなっている。速足のせいではなかった。 銀行に到着した。9時ちょうどだった。
記帳機に駆け寄りかねない勢いで一直線に歩を進め、通帳を開く手ももどかしく挿入口に押し込んだ。 印字は1行だけ。すぐに返された。
(……)
あなたは機械の前に立ち尽くし、呆然と通帳を見つめた。 さっきPCで見たのと同じ金額が印字されている。 我に返り、今度はキャッシュディスペンサーの前に移動した。 順番を待っていた客に気づかず、あなたは割り込みをしてしまったが、幸いほかの機械が空いていたので文句を言われずに済んだ。
(試しに10万円引き落としてみよう)
やってみると、問題なく引き落とされ、その分だけ減った残高が印字された通帳が、機械から吐き出された。