▲▲社のケース(1)vol.048

▲▲社は、長年にわたって産官学を支えてきた企業と言っていい。

社食や売店といった職員用施設への商品卸しや社員向け通販など、企業や官庁を福利厚生面から援助してきた。
「働く場所に家庭のアイテムを」というコンセプトで商品展開を心がけ、成長を続けている。

職場と家庭を切り離して考える大多数の層をあえて切り捨てたことが、先代社長の最大の経営決断であり、成功要因だった。

高度成長期のさなか、家庭を顧みない猛烈サラリーマン全盛の時代に、その試みは大きな賭けだった。
しかし、そんな中で▲▲社に熱いまなざしを向けている客層が居たことを、あとで知ることになる。

景気低迷・非正規雇用増加・女性の社会進出を主なきっかけとして、それまでの価値観は大きな転換期を迎えた。

「ワークライフバランス」という言葉に象徴され市民権を得たかつての少数派が、ずっと報われない独自路線で孤軍奮闘する▲▲社の理念に自らを重ね合わせてきたことを、自由に言える雰囲気になった。

彼らにとって▲▲社は「共に“絶対強者”に立ち向かう戦友」であり、いずれ何かの形で力になりたいと思い焦がれる存在だった。

その力は▲▲社の誰もが予想しなかったほど強く、小中高、大学など学校に対して事業展開した際、父兄から圧倒的な支持を得て、生徒たちとの縁が深まった。

やがて卒業生が社会人になり、勤め先で発言力を持つ頃になると、自社の福利厚生の担い手として▲▲社を参入させる例が増えてきた。

昔に比べると、現在の企業のライフサイクルは短い。

▲▲社と関わった子供たちが会社で影響力を持つまでのスパンは全体的に早くなり、そのことは▲▲社のビジネス参入までの期間短縮につながる。

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